ボールミルを利用した二酸化炭素の固定化法を開発

研究の背景と研究成果のまとめ

地球温暖化原因物質である二酸化炭素(CO2)を一炭素源として活用する研究は、近年急速に発展しています。なかでも、プロパルギルアルコールのカルボキシル化反応は、環状炭酸エステルの有効な合成法として注目されており、この反応は医薬品産業における重要なプロセスであるとともに、ポリカーボネートやポリウレタンの製造にも不可欠です。これまでに様々な反応が報告されていますが、反応を効率的に進行させるためには、高温・高圧条件が必要な場合が多く、また、従来法では反応溶媒を使用するため、環境負荷や安全性の課題が残されています。溶媒を使用せず室温で進行する反応も報告されていますが、これらの反応も反応時間が長いという問題を抱えています。

一方、ボールミルは、医薬品原料の粉砕や混合に広く用いられていますが、近年では有機合成の分野でも注目を集めています。ボールミルを利用した反応は、溶媒の削減や反応時間の短縮といった利点を有し、グリーンな合成法として期待されています。

本研究では、ボールミルを二酸化炭素固定化反応に応用することで、短時間で様々なプロパルギルアルコールを対応する環状炭酸エステルに変換する方法を開発しました。本反応は、様々なプロパルギルアルコール誘導体に適用可能であり、中程度から良好な収率で対応する環状炭酸エステルを得ることができました(図1)。この反応は、生物活性物質であるエチニルエストラジオールの変換も可能であり、対応する環状炭酸エステルが効率良く生成しました。

図1. 環状炭酸エステルの合成

CO2をプロパルギルアルコールに固定化した後、同じ容器内にピロリジンを直接添加し、追加でミリングすると、中間工程を経ることなく、カルバメート誘導体を効率的に得ることができました(図2)。

図2.ワンポット合成

今回開発した反応は、室温・大気圧という温和な条件で、CO2を短時間で様々なプロパルギルアルコールに固定化できるため、従来のバッチ反応と比較して効率的で環境負荷の低い合成法であり、今後の実用化も期待されます。

本研究成果のポイント

・ボールミルを使用することで、プロパルギルアルコールに二酸化炭素を短時間で固定化し、環状炭酸エステルの 効率的な合成を達成した。

・本法は幅広い基質に適用可能で、生物活性物質にも適用可能であることを見出した。

論文情報

  • 雑誌名: RSC Mechanochemistry
  • 論文タイトル: Synthesis of cyclic carbonates via silver-catalysed fixation of CO2 to propargyl alcohols under mechanochemical conditions
  • 著者: Naohito Tomita, Hironao Sajiki, Takashi Ikawa
  • DOI10.1039/D5MR00072F
  • 出版日:2025911

Front Cover Artworkとして採択


研究室情報・お問い合わせ

岐阜薬科大学 アドバンストケミストリー研究室
〒501‑1196 岐阜市大学西 1‑25‑4
TEL 058‑230‑8100(内線 3621)
Web: https://gpu-advchem.jp